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「令和の米騒動」から続く高値 担い手不足、農地集約で大規模化する農業“継続の原資”に 収入4割増の農家も【福井】
この夏、多くのスーパーの棚からコメが消えた「令和の米騒動」。この品薄を機に、
JAや民間の卸会社は、農家からコメを集荷する際に支払う金額を大幅に引き上げました。
農家の収入は、JAと契約するコメ農家の場合、JAに出荷する際に支払われる前払い金である「内金」と、販売の見通しが立った時点で12月に支払われる追加支払いの「精算金」の大きく2段階に分かれています。
2024年は内金・清算金ともに大幅に引き上げられました。生産コストや流通経費の上昇分も転嫁され、店頭に並ぶコメの価格は依然高値が続いています。
こうした中、生産者であるコメ農家の収入自体はどうなったのか、県内の農家を取材しました。
2024年8月、全国の多くのスーパーからコメが消えた「令和のコメ騒動」は、2023年夏の猛暑で主食用として市場に流通するコメの量が減ったことや、外国人観光客、いわゆるインバウンド需要の増加などが要因とされています。
こうした中、JA福井県では、コメの集荷の際に支払う内金を、この夏大幅に引き上げました。
コシヒカリは、玄米60キロ当たり2023年より4500円高い17200円にし、加えてJA福井県は卸売業者に販売する価格を11月契約分から引き上げ、毎年12月に農家に支払う精算金を、2023年の300円から異例の2000円としました。
福井テレビが1年を通して取材してきた福井市の岡保地区にある農事組合法人「こうすい」の吉田優一郎さんは、約33ヘクタールの田んぼで5種類のコメを生産しています。関係者が食べる分を除いた約7割を、JAと民間卸会社などの事業者に半分ずつ出荷しています。
吉田優一郎さんは「騒がしい一年でしたね。お米が高くなった、どうして高いのという話を聞くが、生産者側としてはそれを言われると辛い。コメの売上金額は15年、16年変わっていなかった。生産費は2割から3割上がって来て経営圧迫されていたので、今回大きく変わった」と話します。
全国のコメの品薄によって、この夏、JAの提示した内金は大きく引き上げられました。吉田さんは「これがベースで他の民間事業者もJA価格を気にしながら決めていく。ただしJAより少し高い値段で買うので、2024年はお互いがけん制しながら価格が上がっていったと私は思っている」と話します。その結果、こうすいでは、コメの売上がこれまでの3000万円前後から4300万円になり、4割ほど増えたと言います。
吉田さんが見せてくれたのは新しいコンバインです。これまではコメの価格がなかなか上がらず、収支の面から二の足を踏んでいた新しい機械の導入を決めました。「我々の農業形態は機械に頼らざるを得ない。大型機械を使った営農が当たり前になってきている。大事に使っているけどトラブルが発生して作業が止まるが、なかなか更新ができなかった。来年から新しい機械が入って来て気持ちよくできるかな」と期待を込めました。
人口減少や高齢化による担い手不足によって、農地は集約され大規模化してきました。農家にとって、大型機械の導入は欠かせない投資であり、今回のコメ価格の上昇は、生産者が来年もコメづくりを続ける原資となっています。
先日、県やJAなどがつくる県農業再生協議会は、2025年産主食用県産米の生産量を、2024年の目安より2.2%増やすことを発表しました。吉田さんは、「主食用のコメを作る面積が増えるのは素直にうれしい」と話し「このまま価格も含めて安定してほしい」と期待していました。
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