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【単独】北陸新幹線延伸 「国土強靭化や経済効果の観点から国が負担すべき」西田昌司・与党整備委員長インタビュー全文<後編>
北陸新幹線の敦賀-新大阪間について協議する与党整備委員会の西田昌司委員長が単独インタビュ―に応じた。
Q.膨れ上がった建設費は、ルート決定にあたり重視すべきか―
建設費がなぜ上がったかというと、働き方改革による残業規制で工事に時間がかかる分、人件費が増えるということに加え、円安の影響もあり資材費が上がってきたことが原因。これはどのルートでも同様。北陸新幹線は、京都のために整備するわけでも福井のために整備するわけでもない。もちろん福井にも京都にも便益はあるが、東京-大阪間を東海道新幹線と別ルートでつなぐことで、太平洋側で災害等があった場合の代替ルートとして東西の基幹都市をつなぎ、日本のリダンダンシーを高めることが最大の目的で、まさに国策そのもの。国策である以上、国がしっかりと責任を持って進めることが1番大事。
Q.関西のトップから建設費の地元負担に対する不安の声が大きかったが―
それは当然そうだろう。地元負担を最大限少なくして、国が責任を持ってやると言っているが、そういう空手形では心配だというのが共通の本音なので、制度を示すのが先だというのが、今回の中間報告の意味。どちらの案になっても、誰がどう工費を負担するのかを仕組みとして示すことで、最も大きな懸念がなくなる。国が全部お金を出すというのなら、基本的に何も問題ない。
地下水については、科学的知見からはほぼ問題はない。京都市長が「オープンカット工法で阪急を作った時に水が枯れたと皆言っている」というが、それはオープンカット工法で道路を掘り下げて壁を作って工事をしたから。今回は、土の中にそのままシールドトンネルを掘っていくので、余分な土を掘り起こさない。地下鉄御池線も東西線も、二条通りから西はオープンカットではなくてシールド工法でやり、水が枯れたとか汚れたという話はなかったという報告を受けている。そういう事を市長たちにも知ってもらわないといけない。まだ市長になられたばっかりだから知らないのかもしれないが、そういう大事な情報をしっかりと共有していかなければならない。様々な問題があっても「国が責任を持ってやります」と。例えば土の問題でも、私は京都の中でも候補地はあると思っているが、ない場合は、距離が長くなるが運ぶだけの話で、要はお金の問題。「そのお金は国が出します」と言えば問題ない。つまり、お金の問題がはっきりしてくれば、大概の問題は解決できるので、その仕組みがまず大事。
Q.福井県杉本知事は、建設財源の国費の増額を提案した。知事の提案では、国土強靱化のための予算を国費の増額にあて、残った分に現行のスキームを当てはめるという考えだが―
それは1つの案だと思う。そもそも地方の3分の1の負担も含めて、国が交付税措置をして、この負担の大半を実は交付税で国の方が出すとなると、負担はもっと小さくなる。与党側が責任を持って、このスキームを考えるということ。
Q.スキーム自体の見直しも、今後考えるということか―
そうなってくると、いままでのスキームを事業化している北海道と西九州にも影響する。例えば佐賀県も、自分のところには(新幹線は)要らない、負担したくないと言ってるわけで、それを「全部国がやる」と言ったら反対する理由はないので一気に進む。山陰新幹線や四国新幹線など、やらねばならない新幹線計画はいくつもあるが、沿線は基本的に過疎県なので、いままでのスキームで地方が分担するというのは無理。そのスキームを変え、国土強靱化も含めて「国策として国がやる」と言ったら、いくらでもできちゃう。新幹線のネットワークがつながることは、日本の国全体にとって意味があること。実は、私の一番の目標はそこにある。全国を新幹線のネットワークでつなぐこと。そのお金は基本的に国が持つということ。
何年か前に、すべての新幹線10本で一体いくらかかるのかを国交省に試算させたことがある。50兆円から60兆円という話だった。例えば、北陸新幹線が3兆円の予定が5兆円になったと心配されているが、5兆円は大きいように見えるが、10年でやったら1年あたり5000億。20年でやったら2500億で、国にしたら大きいお金じゃない。同じように50兆円だと、その10倍だが、毎年2、3兆円のお金を出していけば、国の予算の中で全国に新幹線がつながってしまう。
国の予算では道路予算は何兆もあるが、鉄道の予算はほとんどない。なぜかというと、鉄道事業は元々、国鉄がやっていて、国鉄の運賃でやってきたから、計画があるのにつながってこなかった。道路ももちろん必要だが、道路は100キロの世界。鉄道は250から300キロの世界。2倍から3倍のスピードで、たった1人の運転手で何百人、何千人と一挙に運べる。将来的には新幹線に貨物新幹線を走らすことが可能で、人手不足の問題があるなか、東京-大阪間は、北陸新幹線経由で東京まで3時間から4時間もあれば着いてしまうので、トラックよりも断然早い。日本がどんどん衰退するようなことを言う人がいるが、それは逆さまで、将来への投資をしてこなかったから地方が衰退し、人口が減ってきて東京一極集中になったのであって、新幹線ネットワークを全国につなげば、東京に住む必要はない。大都市に住まなくても、それぞれの自分たちのふるさとで暮らしながら、都会にも行きたい時にすぐ行けるようになると、全く変わる。経済的波及強化は計り知れない。それができるだけの技術もお金もある。お金は国が国債発行でやっていけばいいだけの話。
全部の新幹線を整備しても、毎年、数兆円のお金だけで、10年、20年やれば全部できちゃう。だから、やらない方がおかしい。この30年間は、積極的に国債を発行して日本全体を良くしていくという国土強靱化も含めた国の総合開発計画が、いわゆるリーマンショックやバブル崩壊があって、全く止められてきた。むしろ、投資するのではなく使わない方がいいという思想がはびこってしまい、地方がどんどん衰退してきた。そういう悪いデフレスパイラルを脱却させるのが、この新幹線計画だということ。
Q.吉村知事は「小浜ー京都ルート」の費用対効果が1を下回る可能性が高いとしているが―
そもそも、敦賀ー大阪間で費用対効果を見るものじゃない。敦賀-大阪間ではなく、東京-大阪間で見なければならないということ。採算が取れなければ民間事業だったらやらないかもしれないが、これは民間の事業じゃなくて国策なのだから、日本全体を豊かにし、災害から強くするというときにB/Cが 1を切ったらやらないという発想自体が間違っている。
Q.大阪延伸による経済効果がうまく伝わっていないのでは―
京都や大阪の人にとっては、北陸はサンダーバードで行けるので、わざわざ新幹線で行かなくても十分、と思っている人が結構多い。確かにサンダーバードでもいいが新幹線は時間が半分以下になる。福井から京都は通勤圏内になり、圧倒的な経済効果出る。ただ、それを地元負担でやるというのに無理がある。便益を一番受けるのは福井でも京都でもなく、基本的に大阪や東京など大都市部が受ける。その便益は国が負担するという方がいい。
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