番組情報
#35 “紙の粘り、人の粘り” 1500年受け継がれる越前和紙を未来へ
2026年01月24日(土)放送
1500年もの歴史を誇る、福井の伝統産業「越前和紙」。2025年12月には“和紙の王”とも称されてきた「越前鳥の子紙」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。今回の「Fukuiクエスト」では、越前和紙の文化を守り、続け、未来へとつなごうとする3つの“粘り”に迫りました。
一つ目は「粘って守る」。訪れたのは“紙の里”越前市・今立。越前鳥の子紙の技術保全に取り組む「越前生漉鳥の子紙保存会」の会長・栁瀨晴夫さんを訪ねました。日本の手漉き和紙技術は2014年、全国3カ所の産地がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、当時、越前和紙は対象外。そこで栁瀨さんたちは保存会を立ち上げ、技術の継承と原料の確保に粘り強く取り組み、去年、悲願の追加登録を果たしました。国産のガンピのみを使う鳥の子紙は、非常に希少で高度な技術を要する和紙です。「ユネスコ登録は通過点。これからは使ってもらうことが大切」。文化を未来へ残す覚悟が、その言葉に込められていました。
二つ目は「粘って続ける」。向かったのは越前市の岡本小学校。ここでは約45年にわたり、和紙文化を子どもたちに伝える授業が続けられています。6年生は卒業証書用の紙を自ら漉き、原料となるコウゾの栽培から体験。地域の職人に支えられながら、紙づくりの工程を一から学んでいきます。授業を通して、子どもたちは和紙の奥深さだけでなく、丁寧に続けることの大切さや、地域の文化を受け継ぐ意味を学んでいます。長年積み重ねてきた学びが、次の世代へと確かに引き継がれていました。
そして三つ目は、「未来をひらく粘り」。訪ねたのは永平寺町の県立大学。生物資源学部の池田美穂准教授は、和紙づくりに欠かせない粘液「ネリ」の原料となる植物・トロロアオイの研究に取り組んでいます。トロロアオイは栽培が難しいうえ、生産者の高齢化が進み、将来の安定供給が課題となっています。
そこで池田先生は、組織培養や遺伝子研究の技術を応用し、栽培しやすい品種づくりに挑戦。生産者の負担を減らし、次の世代につなげるための研究を続けています。こうした取り組みの中で、トロロアオイの無菌培養に世界で初めて成功しました。研究の一環として、品種改良用に育てたトロロアオイの収穫クエストに福山研究員も挑戦。深く張った根に苦戦しながらも、学生たちと力を合わせ、科学の力で伝統産業を支える未来像を体感しました。
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