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眼鏡産地・鯖江で誕生「ARグラス」 “普通の眼鏡”の掛け心地で同時通訳や道案内まで 聴覚障がい者の期待も背負う

2026.06.02 18:55

全国一のシェアを誇る眼鏡産地、福井県鯖江市の企業などが伝統の技術と最新のITを融合させた新たなデバイスAR(拡張現実)グラスを開発しました。最先端の技術が詰まったARグラスの機能と、このデバイスが見据える未来について取材しました。

 

同時通訳された内容がレンズに表示される

 

吉田圭吾アナウンサー:
「いま私は、地図を見ながら歩いています。その地図はどこにあるかというと、この眼鏡のレンズの中。スマホの地図アプリの情報が眼鏡のレンズに映し出されています」
  
4月に東京で開かれた新製品発表会。披露されたのは、鯖江市のIT企業「jig.jp」や眼鏡メーカー「ボストンクラブ」など3社が共同で開発したAR(拡張現実)グラス「SABAERA」です。
  
ARとは実際の風景にデジタル情報を重ね合わせる技術で、このARグラスはスマートフォンと連携し、レンズ上にデジタル情報を表示します。
  
重さは約40グラム。一般的な眼鏡と変わらない見た目と軽さが最大の特長です。
 
地図アプリの表示以外にも原稿表示や、会話の文字起こし、多言語の同時通訳も可能です。
    
ARグラスに内蔵されたマイクで音声を拾い、AIが翻訳と文字起こしをしたものが映し出されるため、視線を変えることなくハンズフリーで情報を得ることができます。 
 
jig.jp田中雄一郎CFO
「もともとあったARグラスは少しゴーグル感のあるデバイスだったが、どうしたら普通の眼鏡に見えるようにするか、ボストンクラブとかなりデザインを議論した」

 

ボストンクラブなどが開発したマラソンランナー用のARグラス

 

“普通の眼鏡に見えるARグラス”、そこに大きく貢献したのが、鯖江市の眼鏡メーカー「ボストンクラブ」です。3年前、県と共同でマラソンランナー向けのARグラスを開発した経験などを活かし、SABAERAの快適な装着感を生み出しました。
    
ボストンクラブ・小松原一身代表:
「眼鏡は比重が大事で、前が重すぎると顔に負担がかかる。バランスよいかけ心地を追求し、デザインは誰が掛けても違和感のないウエリントン型にした」
     
5月に開かれた体験会では―
「未来感を感じた。視界の中に画面が表示されていていろんな情報が出てて、面白い」
「軽さとか掛け心地がいい」
「みんながこれをかけているとすごい世界が来るかも」
    
さらに、ARグラスの課題の一つである「視力補正」に対応するため、レンズの内側に度入りレンズを直接埋め込む一体型構造を採用しました。

 

度入りにも対応

 

4月からの先行販売では購入者の3分の1以上が度入りグラスを注文していて、実用性の高さが注目されています。ボストンクラブの小松原代表は「ARグラスはいま黎明期。生活の一部の道具として多くの方に使われる時代になっていくのでは」と先を見据えます。
  
ARグラスの市場規模は年々拡大。2035年には現在の約5倍、約18兆円になるという試算もあります。ビッグビジネスに目が行きがちですが、聴覚障がい者の期待も背負っています。
 
jig.jp田中雄一郎 CFO:
「相手の言葉をスマートフォンに表示して理解する人も多いが、相手の顔を見ながら視線を変えず、相手が言ったことを表示できるので相性がいいと考えている」
 
先日、行われたミュージカル鑑賞の実証実験では、聴覚障がい者から好評の声を得ました。田中 CFOは「これは絶対に製品化してくれと言われた時はすごく嬉しかった」と可能性を感じたといいます。
  
そして「外国人労働者を多く抱える会社からの問い合わせが結構ある。今はビジネス寄りだが、料理しながらレシピが見られるとか、人々の生活や社会が豊かになることを目指してやっていきたい」と今後の展望を語ります。
    
世界が注目するARグラス。その可能性を最大限に引き出す眼鏡産地・鯖江の技術。鯖江発のARグラスの躍進に期待が高まります。
  
<SABAERA>
現在はクラウドファンディングサイト・マクアケで先行販売中。(税込み6万9990円)
店頭やECサイトでの販売は8月以降を予定。(税込み9万2400円)
6月3日午前10時から鯖江市のボストンクラブで、20日、21日には鯖江市商工会議所で特別体験会。

 

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