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ドアtoドアの「近助タクシー」 バスが減便や撤退…子供や高齢者の“送迎”を地元住民が支えるサービス 本格運行から6年、永平寺町で見えてきた成果と課題

2026.09.22 18:45

電車やバスを運行しても採算が取れない地域の交通手段を確保するため、国は自家用車を使い運賃をもらって人を運ぶ「自家用有償旅客運送」を推奨しています。

福井県内でも一部の市町で導入が進められていて、このうち永平寺町では2020年から町民がドライバーを務める「近助タクシー」を運行しています。本格運行から6年、見えてきた成果や課題を取材しました。

 

永平寺町内を運行する「近助タクシー」は、町民は平日の日中なら好きな時間に自宅から町内の公共施設までの送迎を受けられるサービスです。
  
片道料金は大人300円、小中学生50円。町が2020年から本格運行を始めました。
 
永平寺町総合政策課の中屋貴大さんは「コミュニティバスや路線バス、えちぜん鉄道も運行していたが『ドアtoドアに近い地域交通を運行してほしい』という依頼を受けた」と運行を始めた経緯を語ります。
  
「タクシー」ですがナンバープレートは緑ではなく、白。ドライバーも二種免許が必須ではありません。国に自家用車を使って有償で人を運ぶ「自家用有償旅客運送」の申請をして、運行しています。
  
ドライバーに求められる条件は“町民であること”です。
  
「新しい地域交通を支える中で、地域の方が地域を支える取り組みにしよう、というのが最初からのモットーだった」(中屋さん)
 
この日は、運転免許を返納した80代の女性を送迎しました。女性は「きょうは郵便局まで。玄関から玄関まで送ってくれるので大変助かる」といい、買い物や通院などで、週に何回か近助タクシーを利用するといいます。
  
乗車した女性:「誰かに(送迎を)お願いしなければいけないときも、近助タクシーだと気が楽です」
近助タクシーのドライバー:「身内に頼んでも気兼ねするお年寄りもいっぱいるからね」
女性:「そうそう」
  
ドライバーや利用者同士でも会話が生まれ、地域のつながりも深まっています。
  
女性を送迎した後、近助タクシーは小学校に向かい、この日は児童3人を自宅に送り届けました。
 
近助タクシーを支えるのは地域に貢献したいというドライバーの思いです。
 
ドライバーの坪川光一さんは「子供たちも利用するが、足が動かない、歩くのが大変な高齢者が病院に行くのにもよく利用してもらう。その人たちのためになっている気がするので、やっていて良かったと思う」と話します。

 

運行が始まった頃、近助タクシーの1日の利用者数がコミュニティバスの4倍となった地区もありました。
  
ただ、本格運行が始まってから6年で、町の人口は1000人近く減少。2024年からは利用者の数が伸び悩んでいます。
  
小学校の児童数が減ったことが原因の一つですが、高齢者の利用も減っています。
   
町の中屋さんによりますと「利用者が一部固定化され、数年前まで近助タクシーを利用していた人が、現在は施設に入るなどして利用者の減少につながっている」といいます。
  
電車やバスでは採算が取れない地域のための近助タクシー。だからこそ、利用者の減少で運行をやめるわけにはいきません。
  
人口が減る中で、一人でも多くの人に快適な移動を届けたいという思いで、町は高齢者のサロンなどで近助タクシーをPRしています。
   
「初めて乗るところをネックに感じる高齢者もいるが、一度乗れば利便性が高く乗りやすいものなので、まずは一度乗ってもらえる仕組み作りを、行政が担っていきたい」(永平寺町・中屋さん)
  
永平寺町はこれからも、地域の助け合いの力で車を運転できない人も快適に移動できるまちを目指します。
    
県内では現在、永平寺町のほか8市町で手薄な公共交通機関を補うため自家用有償旅客運送が導入されています。人口が減る中、バスの減便や撤退がこれからも増える可能性があり、交通事業者だけではカバーしきれない地域住民の移動を地域で支えるという、新しいスタイルが今後も広がりを見せるかもしれません。

 

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