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揺れるコメ政策に「百姓一揆や」農家憤り 備蓄米21万トンの買い戻し「遅いし少なすぎる」 来季のコメ作りも見通せず
コメ不足を受けて政府は去年、備蓄米を市場に放出しましたが、今年は一転してコメが余り価格が下がると、備蓄米の買い戻しを決めました。
県内ではJAから農家に支払われる新米の内金が大きく下がり、農家からは厳しい声が上がっています。
備蓄米の放出から買い戻しへ。揺れるコメ政策を、作る側の農家ははいま、どう見ているのか、取材しました。
今年4月。福井市内で約50ヘクタールの田んぼを手掛ける、コメ農家の白井清志さんが田植えをしていました。この日、白井さんが気にしていたのは、まだ植えたばかりのコメの値段でした。
「国はコメの価格を下げるために、さらに多くの備蓄米を出した。新米が取れる頃には相当コメが余ると思う。これではコメの相場が下がってしまう」
去年、高騰したコメの価格を抑えようと、国は備蓄米を市場に放出。白井さんは、その影響が秋まで残ることを心配していました。
それから5カ月。今年、JA福井県が農家に前払いする内金(概算金)は、コシヒカリ60キロで1万7000円と、去年より1万2000円下がりました。
白井さんは「コメが足りないから備蓄米を出すのは理解できる。ところが、コメ価格を下げるために、また備蓄米を放出したら今年のコメ価格がとんでもない方向に行く予感がしていたけど、その通りになった」と憤ります。
経営の見通しは、さらに厳しいものになるとみています。
「来年はこんなこと絶対やらない。もうやめ。やめ、やめ。2000万も赤字出すもん」(白井さん)
そんな中で国が進めるのは、去年とは逆の動き。備蓄米の買い戻しです。
9月18日に、21万トンの買い戻しの動きが始まりました。去年の放出で、政府備蓄米は、約32万トンまで減少し、国が目安とする100万トン程度を大きく下回っています。
新たに就任した簗農水大臣は、できるだけ早く備蓄水準を戻す必要があるとして、追加の買い戻しを早期に進める方針を示しました。
ただ、追加でいつ、どれだけ買い戻すのか、その具体的な数量や時期は、まだ示されていません。
白井さんは「21万トンの買い戻しは遅すぎる。6月にやらないといけなかった。しかも、もっとたくさん。60万トン近く出しているんですから、21万トンでは少なすぎる。40万トンは買い戻しをしないといけない」と指摘します。
JA側からも、「21万トンだけでは十分ではない」という声が出ています。
先日、福井テレビの収録番組に出演したJA福井県五連の宮田幸一会長は「21万トンを買い戻しても、余りがまだ解消できない」と発言。今後も段階的に買い戻すよう、国に求めていく考えを示しました。
「これから徐々に備蓄米の買い戻しをしてもらうように、我々も運動を展開しないといけない」(宮田会長)
ただ、コメが余る背景には、備蓄米だけでなく、去年の増産や、今年も多くの収穫が見込まれていることがあります。
白井さんの怒りは、買い戻しの量だけではありません。来年以降のコメ作りが見通せないことです。
「これからの農業政策をどうするのかが全然見えてこない。だから農家はみんな、どうしたらいいか迷っている。農家は大人しいからな。本当は、むしろ旗あげて“百姓一揆”をやらないと」
春に白井さんが植えた苗は秋になり、コメになりました。その間に、備蓄米の「放出」から「買い戻し」へと政策が動く中で、次の春、どれだけ苗を植えるのか。その答えは、まだ出ていません。
白井さんは、今後もコメを安定して供給していくためには「かつて国がコメを管理し、一定の価格で買い上げていた時代のように、作ればきちんと買ってもらえる仕組みに戻すべき」と訴えています。
コメ作りの現場では、実際に農家がコメ作りから離れる動きも続いています。帝国データバンクによりますと、今年は8月までに、コメ農家の廃業が28件と、すでに去年1年間の37件に迫るペース。倒産を合わせると32件が生産現場から撤退していて、このままでは4年連続で過去最多を更新する可能性があります。
先が見通せない中で、農家の経営は追い込まれています。
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