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【全文掲載】「警察や検察は非を認めるべき」前川彰司さん再審公判後の記者会見 福井女子中学生殺人事件
39年前に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、殺人罪で懲役7年の実刑判決を受けて服役した前川彰司さん(59)の裁判をやり直す再審初公判が3月6日に開かれ、即日結審しました。公判後、前川さんは弁護団とともに記者会見に臨みました。
Q.再審公判を終えての感想は―
初公判で意見陳述の機会をもらいまして、言いたいことは言えたと思います。ただ、こここに来るまで38年、事件発生から39年が経ちました。ここまでの38年の月日の思いを少しの時間で意見を述べよと言われましても、すべてを語れるかと思うとそうは思えません。ただ、言いたいことは言えたと思います。
Q.控訴審以来、約30年ぶりに法廷に立ち意見陳述をしたが最も訴えたかったことは―
簡単に言うと、福井事件は犯罪の証明がない。これは一審の福井地方裁判所の判事の言葉。事実無根である、と私は無実を主張し無罪を求める。
Q.検察が有罪を主張した事への受け止めは―
やっぱり憤りは当然あるんですけど、福井事件はやはり初めから検察の判断が間違っていた、起訴すべきではなかったと思います。掘り下げて言うならば、何人かが私(前川さん)が犯人だと証言をしていますけど、警察や検察がうそを見抜けなかったことが原因だったのではないかと思います。人の心を察する仕事なのですから、薬物とかアルコールとか問題がありますけど、そういう人たちの言っていることが本当がどうかというのは、判断できなければいけないと思うんです、警察や検察だったら。うそを見抜けなかったというのが一番の原因だと思います。
Q.法廷で検察側を見つめていたのは、どんな思い―
抵抗ですね。
Q.どのような判決を望むか―
7月に判決の日が決まったので、ひとまず良かったとしたいですが、昨年10月に再審開始決定が出て、年内に判決が出ると最初は甘く考えていたのですけど、(再審の初公判が)3月という日付けが出て来て、年度内に判決が出ると思っていたけど間違っていました。7月ということで、裁判には、司法には時間がかかるという、もう少し短くしてくれないかなというのが率直な思いです。
Q.捜査手法への疑問点は―
詳しいことは分かりませんが、人の世の中はうそが付き物だと思うんです。人のうわさには尾ひれが付くというか…これはすべて冤罪だと思うんですよね、濡れ衣ということで。それを見抜けない警察や検察の在り方に問題はないですかね、と私は思います。
Q.法改正への思いは―
大崎事件は3回の再審を開いていて、福井事件は2回。再審は確かに高いハードルですけど、その他にも再審の裁判を勝っている先達がいるので、極論ですが世の中は冤罪だらけという認識の下で、冤罪の世の中、という事を踏まえて判断して欲しい。門戸を閉じるのではなく、開く。冤罪がないのではなく冤罪だらけという逆の考えを持ってほしいですね。
Q.捜査の在り方や姿勢への思いは―
未熟とかいう評価をしだすときりがないと思うんですけど、やはり警察や検察も罪のある人を改心に導き、決して罰を与えるのが本来の目的ではないと僕は思いたい。そういう前提で司法の在り方が進んでくれれば世の中が変わるのではないかと思っています。
Q.法廷で検察を見つめていたのはどんな抗議の思いだった―
間違っていたのは警察や検察の方ですから、非を認めて改めるべきではないかという思いでした。
Q.長い時間がかかったのは証拠開示がなかったからでは―
証拠が開示されて再審が開かれましたが、証拠が開示されなかったからこんなに長い時間がかかった。司法に時間がかかるというか…僕は少年院にも少年鑑別所にも入っていましたが、少年院は1カ月で被告に対する審判が下りるんです。2週間で下りることもあります。成人になると何年、何十年かかっているのが現状じゃないですか。大人になってからの事件には時間がかかるんかなと思うと、少年の時と比べて法の下の平等は一体どうなるのかな、という部分もあります。
Q.再審公判を終えて、したい事は―
親父も心配していますので、親父に報告に行きますけど、特に何かしたいとかはなくて、あしたも朝起きて礼拝に行って、淡々とした生活を送ると思います。初公判、結審しましたけど、まだ続きがありますので、無罪をもらったわけではないので兜の緒を締めたいと思います。
Q.7月18日は父親にどのような報告をしたいか
れっきとした無罪判決をもらってから父親の元に行って「晴らしたと、冤罪を晴らした」と報告したいと思います。
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