高浜町内浦地区にある永野農園では、光沢つややかなトウガラシの収穫が本格化しています。現在は食用トウガラシとして出荷していますが、昔は観賞用トウガラシとして関西圏やドライフラワー業者に出荷していました。

当時は内浦地区で3万本～5万本の出荷があり、30軒ほどの農家が生産していたといいます。県内にPRするために、「内浦レッドペッパーズ」を結成し、トウガラシを使ったリース作り体験などのイベントを開催していました。

しかしコロナ禍になり、活動中断を余儀なくされます。イベントやツアーがなくなり、市場への出荷やドライフラワーの出荷もなくなりました。販売先がなくなり、内浦地区から観賞用トウガラシの出荷・生産が消えつつありました。

コロナ禍が明けた時には、生産者は永野農園の永野和夫さんだけになっていて、永野さん自身も一時期は生産を辞めていたそうです。生産を再開したきっかけは、JAの直売所から「食用トウガラシを出荷してほしい」というお願いがあったから。

永野さんは「誰かに頼まれるから生産するのが自分の農業」だといいます。そこには、「地域貢献がしたい」「顔が見える商売がしたい」という思いがあります。たった一人でトウガラシの生産を続ける永野さん。「自分の損得とは関係なく、内浦地区でとれる農産物の魅力を知ってもらいたい。一生懸命誰かのために作る農業であり続けたい」と語ります。