南越前町河野地区では「黄金の梅」を生産しています。  

　新平太夫という品種で、木から自然落下したものです。紅映（べにさし）梅などを生産する県内の他の梅農家は、手摘みですが、黄金の梅は木の上で完熟するのを待ちます。

　梅は、完熟すると自然に枝から落ちるので、完熟し落ちた実を拾い収穫しています。生産者の浜野好己さんは、「完熟した梅は全く違う。特に違うのは香り。こんな良い香りの梅には今まで出会ったことがない」と話します。

　とはいえ、ただ自然落下しただけでは「黄金の梅」とは認められません。大きさや色など厳しい選果があり、黄金の梅になれるのは全体の2割～3割程度だそうです。

　収穫時期も出来も梅次第。なかなか思うようにいかないことも多いそうですが、浜野さんは「花が咲いて実がなる。それから徐々に実が大きくなってくる。収穫前はもう梅雨間近。一雨降るごとに実が大きくなるのを見ると、期待も大きくなり収穫時期が待ち遠しくなる」と楽しそうに言います。

　現在、県内外の和洋菓子店が、黄金の梅を使った菓子を製造販売しています。海外からも注文が入るそうで、黄金の梅への注目度は年々高まっています。「黄金の梅がお菓子に使われ世間の人に食べてもらえてうれしい」と話す浜野さん。「黄金の梅の香りに惚れ込んでみんなお菓子を作ってくれている。“今年もいい香りだ”と言ってもらえる梅を作っていきたい」と語ります。