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政府の備蓄米放出から1年 消費者も生産者も“納得できる価格”とは 売り場とコメ作りの現場から考える残された課題

2026.05.29 20:00

コメの価格高騰を抑える切り札として2025年春以降に政府が放出し店頭に並んだ「備蓄米」。あれから1年。売り場とコメづくりの現場から、残された課題について考えます。

 

2年前、“令和の米騒動”といわれ不足感から高騰したコメの価格。
     
「ちょっと手が出ない」
「びっくりしました。買えないです」
     
消費者から悲鳴にような声が聞かれる中、国が去年、切り札として放出したのが「備蓄米」です。
    
備蓄米は本来、不作や災害に備えて保管しているコメですが、それを放出することで国は流通量を増やし価格を落ち着かせる狙いでした。
   
福井県内のスーパー「Aコープみゆき店」の 山上剛店長は「お客様が求めていた価格帯で販売できたのが良かったのではないか」と振り返ります。
     
備蓄米から放出された県産ハナエチゼンは5キロ税込み3434円。当時、全国のスーパーでの平均価格が5キロ4000円を超える中、こちらのスーパーでは入荷後5日以内に売り切れるほど備蓄米はよく売れました。

 

では、あれから1年が経って、消費者は―
   
大学生は「コメは高い。我慢すればいいかと思うこともあるが、コメを食べないとお腹にたまらないので、どうしようかと悩んでいる」「やっぱりコメの値段が高い印象。一人暮らしで、コメを食べたいがパンや冷凍うどんが安いので金があまりない時は主食を変えて節約している」と話します。
  
直近1週間の全国のスーパー平均価格は、5キロ3692円。今年1月以降、全国平均は少しずつ安くなる傾向にありますが、消費者にとっては“安くなった”という実感は広がりきっていません。
    
むしろ「商品の動きは鈍くなっているかな」と山上店長。

 

一方、福井市の田んぼでは5月に田植えがピークを迎えていました。
 
農事組合法人「こうすい」の吉田優一郎さんがこの日植えていたのは、県のブランド米「いちほまれ」です。
  
農家の吉田さんは備蓄米に一定程度の意味はあったと感じています。
 
農業法人こうすい・吉田優一郎さん:
「備蓄米を放出して状況を緩和するという意味では、どうせやるんだったら早くやって欲しかったなという気持ちはあった」
 
ただ、いまも“適正な価格”には難しさを感じています。
 
「コメ価格が高いと消費者は買い控える、という結果なんでしょうね。だから価格形成は非常に難しいんだろうと思いますね」
 
高すぎれば消費者が買い控える。安すぎれば農家は作り続けられない。中東情勢も影響し生産コストが上がり続ける中、先が見えないコメの価格に吉田さんは「生産者にとっても消費者にとっても合理的な価格ってあると思うんですね。一喜一憂することはあまりしたくない」といいます。

 

一方でJA県五連の宮田幸一会長は、消費者も生産者も納得しやすい店頭価格の目安として「5キロ当たり3400円から3500円くらいのところに落ち着くのかなとは思っていいる。それぐらいのベースで取引ができれば、消費者も生産者も納得するのではないか」としました。
  
その一方、コメの流通や販売価格の指標ともなるJAが農家に支払う概算金については「大変難しい状況。概算金の提示は生産コスト割れしない指標を見て進める」としました。
  
さらに国の調査では、需要に対して生産量が上回る“コメ余り”も予測され、価格が下落するおそれもあります。
  
売り場では価格を見比べ、田んぼでは秋の価格が見えないまま、コメ作りが進んでいます。

 

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