番組紹介
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冬に多い胃腸炎について
2018.12.17(月)放送
今日のドクター
福井県小児科医会
吉川 利英 先生
病気説明
胃腸炎はお腹の痛み、吐き下しなどの症状が見られ、いわゆるお腹の風邪と言われますが、冬に多い胃腸炎の原因としてはノロウイルスやロタウイルスが有名です。どちらのウイルスも感染力が非常に強く、発熱や吐き下しの頻度も多いという特徴があります。小さなお子さんやご高齢の方は重症化することもあり、家庭内や高齢者の施設内などでは集団感染に気をつけて欲しいと思います。
一般的に胃腸炎の感染経路は糞口感染と言って、便や吐物に含まれるウイルスがなんらかの形で体内に入ることで感染します。ノロウイルスもロタウイルスも感染してから1-2日の潜伏期間を経て、胃腸炎症状が見られるようになります。便1g中には億単位のウイルスが含まれますが、10~100個程度のウイルスが体内に入るだけでも感染してしまいます。このように感染力が非常に強く、吐き下しの頻度が多いため、吐物や便を処理した後はすぐにしっかりと手洗いをして、予防してほしいと思います。また、アルコール消毒の効果は乏しいと考えられていますので、トイレなど汚染部の消毒には次亜塩素酸を使用することが望ましいです。
意外と知らない?対処法
- 治療法はありません
- ノロウイルスやロタウイルスのようなウイルス性の胃腸炎に対する抗ウイルス薬は無いので、吐き気止めや整腸剤など、症状に合わせた対症療法が主な治療となります。また、吐き下しが多いと脱水症になる場合があり、脱水の程度によっては点滴が必要となることもあります。重度の脱水症を避けるためには、水分をこまめに補給してもらうのが良いと思います。水分補給の際に、お茶やお水を飲ませるご家庭もあると思いますが、お茶やお水には糖分が入っていない為、小さなお子さんの場合には低血糖でつらくなる事もあります。いろんな経口補水液やゼリーが販売されていますので水分だけでなく、糖分も塩分もバランスよく摂取してほしいと思います。
- 状態が悪いときは再診しましょう
- ウイルス性の胃腸炎は特効薬こそありませんが、時間の経過と共に多くの患者さんは自然に回復します。このような場合は自宅療養によりゆっくりと休養していただくことが良い治療となります。一方、再診していただきたい状況としては
『お腹の痛みが非常に強いとき』『便に血が混じっているとき』『下痢が多くお尻がかぶれて痛みを伴うとき』『発熱・吐き下し・お腹の痛みといった胃腸炎以外の症状が強いとき』『おしっこが出ず、口の中がカラカラでぐったりしているとき』
これら以外なら大丈夫という訳ではありませんが、合併症や他の病気を併発していないか確認するためにも、再診していただきたいと思います。 - まとめ
- お話しましたように、ノロやロタウイルスによる胃腸炎には特効薬というものは無く、吐き気止めや、整腸剤といった対症療法が主な治療となります。感染力が非常に強いため集団感染を起こし得ることを知っていただいて、適切なタイミングでの手洗いや消毒による予防に努めていただきたいと思います。
過去の放送
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- 2019年03月18日(月)放送胆のう炎について
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