福井県産婦人科医師連合理事
金嶋光夫 先生

妊娠中に発症または初めて発見された耐糖能低下のことで妊娠時にのみ出現する耐糖能異常や、妊娠時に初めて発見された糖尿病、妊娠時に発症した糖尿病などが含まれます。また、糖尿病と診断のついている女性が妊娠された場合は、糖尿病合併妊娠といいます。
妊娠すると胎児の発育にはブドウ糖が必要で、このため胎盤から出るホルモンが増加し母体の血糖値を下げるインシュリンの効果が悪くなることで、胎児にブドウ糖が供給される反面、母体は高血糖ぎみとなります。

妊娠中の尿検査で尿糖が陽性と出ても妊娠糖尿病ではありません

妊娠糖尿病とは、血糖値が正常より高いことで判断します。尿糖が＋の方でも血糖値が低い方は糖尿病ではありません。また、妊娠中はインシュリン抵抗性の状態となり、妊娠していない時より尿糖は＋に出やすくなります。
尿糖が＋と出た場合は、まず血糖値を測定し、さらに血糖値も高いようなら「ブドウ糖負荷テスト」という検査をします。すなわちブドウ糖を飲んでその後、1時間後や2時間後の血糖値がどうかという検査をして最終的な判断をします。

食事のコントロールのみでは妊娠糖尿病は治りません

妊娠糖尿病の治療方法として、最初は食事療法をおこないますが、食事療法のみで血糖コントロールが不良なときにはインシュリン療法を行います。インシュリンは胎児には影響がないとされているので、妊娠中の血糖コントロールも可能です。

まとめ

妊娠糖尿病になると胎児のインシュリン分泌が多くなり巨大児になる場合があります。血糖のコントロールがうまくできれば胎児へのリスクも少なくなります。現在、糖尿病を発症している人もうまくコントロールすることにより妊娠・出産が可能です。医師と相談して、上手にコントロールしましょう。